勝烈庵は多くの棟方志功画伯の作品を所蔵しており、作品を店内でご覧いただくことができます。棟方志功画伯は世界的に著名な美術家、板画作家であり、勝烈庵の店名書体も棟方画伯の手によるものです。

棟方画伯と勝烈庵のご縁について、4代目庵主である勝烈庵の本多初穂社長にお話をうかがいました。

勝烈庵の先々代当主(2代目庵主)が陶芸家浜田庄司氏の窯元を訪れた際、宿泊した旅籠にあった棟方画伯の作品を目にし、とても感銘を受けました。そこで浜田氏と親交のあった棟方画伯をご紹介頂き、そこから交流が始まったそうです。ご紹介頂いた頃、棟方先生はイタリアのヴィエンナーレで金獅子賞、大賞などを受賞していた時期なのですが、板画(棟方画伯ご本人が板【いた】画という表現をされていたそうです)で未だ世に広くは知られていませんでした。和菓子屋さんの包装紙を描いたり、いろいろなところの看板を描いたり、東京の学校で教えたり、様々なことをされていたようです。2代目庵主は棟方先生を横浜にご招待して家にお泊めしたり、一緒に鎌倉に行ったり一緒に食事をしたり・・・。そんななかで棟方先生が三溪園の絵を描いたり横浜港の絵を描いたり・・・そうして交流を深めながら多くの作品を勝烈庵に残してくださいました。3代目庵主の初節句の時にも桃太郎、金太郎の絵を描いていただいたりしていたそうです。棟方先生のひ孫さんと、本多社長のお嬢さん(2代目庵主のひ孫)が、偶然ですが学校が一緒だったり、とても良いご縁が今でも続いているそうです。

「勝烈庵」の店名表記も
「勝烈庵」店頭の提灯や店名表札文字も棟方画伯の揮毫によるもので、迫力と味わい深い趣があります。

これを書いていただいた当時、勝烈庵は横浜駅西口で再興しましたが、現在の総本店の裏手にある「焼き鳥半どん」の場所に新たに総本店を構えることになりました。

その際、ここでやるにあたって暖簾も必要だし看板も必要だから、棟方先生書いてください、お願いしますという感じで、「半どん」の2階で書いていただいたそうです。棟方画伯ご自身も、度々カツレツを召し上がりに勝烈庵にいらっしゃいました。
馬車道総本店には画伯の板画に加えて、肉筆の書や水彩画など他では見られない作品から、1956年ヴェネツィア・ヴィエンナーレで仏画の極致と絶賛され日本人初のグランプリを受賞した「二菩薩釈迦十大弟子」のうちの2作品も展示されています。画伯の迫力ある世界をかつれつと共に味わっていただくことができます。

毎年10月に開催する「かつれつ祭り」の期間中には、来店者の皆さま全員に棟方画伯の作品が描かれた陶板(お皿)を差し上げています。
2017年の創業91周年記念 かつれつ祭りは、10月17(火)18(水)です。